pro-beam電子ビーム溶接機の先進性

ビーム断面.jpg

pro-beam電子ビーム溶接機の先進性

pro-beamと他のメーカーの大きな違いは、彼らが作る装置の最大のユーザーは彼ら自身であることです。このためユーザーとメーカーの間の距離はありません。pro-beamの装置は他のメーカと比べてユーザーフレンドリーで考え抜かれた非常に使いやすい機能が付いています。
ここではpro-beam電子ビーム溶接機の先進的な機能をご紹介します。

高速偏向による技術革新

電子ビームは磁界によって容易に曲げる(偏向)ことができます。電子ビーム溶接機にはDC偏向及びAC偏向(オシレーション)の幾能が備わっており,AC偏向を使用すると振幅,周波数,波形等を変化させることにより見かけ上のエネルギー分布を変えることができます。pro-beam電子銃の偏向周波数は最大で100kHz(オプション)であり、コンピューター制御によりラスター(複数の走査線を並べて作ったパターン)走査で複雑なエネルギー密度の制御をすることが可能です。左の写真はこれをデモンストレーションするためにラスター走査により電子ビーム溶接機で描画を行った例です。この技術を応用すると、ビームは複数の位置で短時間静止してポイント間の移動を高速で移動することによりあたかも複数本のビームで溶接するように操作することが可能となります。例えば中央の写真のように円周上3箇所で行うマルチポイント溶接は溶接時間を短縮できるばかりか、溶接歪も大幅に減らすことができます。
一つのライン上にあるマルチビームのそれぞれのパワーや焦点位置、偏向パターンを変えることによりマルチプロセス処理が可能です。これは右の図のように例えば1パスの間瑠璃ビーム溶接において先行するビームで予熱、中間のビームで本溶接、後続のビームでビード形状を整えるコスメチックパスを行う等の処理です。この方法を用いることにより処理時間を大幅に短縮できます。また、欠陥の発生を抑制することも期待できます。

EB描画.jpgマルチビーム.jpgマルチパス.jpg

高速偏向を使用した例。左より高速偏向ラスタービームによる描画例、マルチビーム溶接、マルチプロセス溶接。画像をクリックすると拡大します。

平面上や円筒面に複数のビーム静止箇所を設けてワークを動かすとマルチライン溶接ができます。ピームの位置を静止させずに動かしながらワークも同時に動かすとあるパターンで電子ビームの照射が可能となります。この方法は主に電子ビームを用いた熱処理に利用されます。これらの例を下に示します

高速偏向溶接.jpg

高速偏向によるマルチビーム溶接の例。このような方法を用いると溶接時間を大幅に短縮することが可能です。

熱処理.jpg

ビームスキャンによるダイナミックマルチライン溶接法を用いた熱処理やオンラインシームトラッキング。puro-beam電子銃はダイナミックレンズを組み込むことも可能なため偏向と同時にフォーカス位置を変えることもできます。

反射電子による観察

電子ビーム溶接機は走査型電子顕微鏡と同じような構造を持っています。正確に制御された微弱なビームをワーク上に走査し、ワークから反射した電子を電気信号として処理し、走査型電子顕微鏡と同じように形状観察ができます。
この機能を利用すると従来の光学観察系では困難であったハイコントラストな観察が可能となります。光の反射によって識別が困難であった円筒の周溶接部の観察もストレス無く行えます。
画像はコンピュータ処理を行っているためシームレスなズーミングも可能です。また、このシステムを用いて開先の検出(シームトラッキング)も容易に行えるため、全自動溶接も可能となります。

ELO原理.jpg2次電子像.jpg

反射電子による観察。左の図はこの原理を示しています。走査したビームをワークに当てて、反射してきた電子をセンサープレートによって捕捉します。この電気信号をPCで処理することにより画像を映し出すことができます。右の写真は光学観察画像との比較です。ライトが反射して見えないような円筒の機械加工面にある溶接線も反射電子像なら確実に見ることができます。

シームトラッキング.jpg

自動車用センサー溶接部のオフラインシームトラッキングの例です。シームトラッキングソフトは直線的なずれだけでなく、周溶接の芯ぶれの補正やプラグ溶接における円の中心の検出等も行えます。仮付けはソフトでの設定により検出から除外することもできます。


ビームの解析、自動調整


反射電子の画像処理を利用するとビームの焦点位置、センタリング、非点調整(スティグマトール)などを自動で調整できます。これらの調整は熟練者でも困難ですが、この機能を用いることにより技能の習熟度にかかわらず誰でも容易に同じ品質の溶接を行うことができます。

自動調整.jpgエラー範囲.jpg

左はビームの自動調整結果の表示画面です。以前に行った調整値の平均も表示されますので、装置に不調があった場合、早期に発見することも可能です。右の図はビームのアライメント調整のエラー範囲を示したものです。経験豊富なオペレーターは平均的なオペレーターに比べてより確実にビームのアライメントを出すことができますが、コンピュータによる自動調整にはかないません。